遠藤良太郎展
『Painting Field』

2008年4月1日(火)~4月30日(水)


「キキキno.61」「キキキno.58」 
「キキキno.22」「キキキno.52」
2007 インクジェットプリント、水彩/紙
27×27cm
ベイスギャラリーでは下記の要領で遠藤良太郎展「Painting Field」を開催いたします。

内外の発表が続く遠藤ですが今回は初めて紙を用いた連作を発表いたします。
遠藤の作品は、絵画の制度に沿ったケレンたっぷりの抽象、逆に時代の要請に応えた今時の具象作品と比べて、いかにも収まりがつきません。画面の大半を占めるインクジェットのプリントはPCのペインティングツールによるし、描かれたものは判別、認知出来る形象もあるとは言え、その周囲には凡そ見当のつかぬものが専ら戯れていると言う具合です。 更に全てフラットで一見エッジの効いた線で描かれていると思いきや僅かに筆で絵の具が施されています。

遠藤の作品がいずれの作家、作品とも同列に語りえないのは、絵画とは何か?描くとは何か?そういう根源的な問い―それは正しく膨大な美術の歴史を経た現代の作家しか持ちえぬもの―がその基盤にあるからです。 その深い懐疑、検証のゆえに絵画が絵画を超えて表現出来る何かを一層問うことになるのでしょう。
 
今回の紙の作品は約70数点、「樹」を画面のいずれかに描き込みながら従来のペインティングと変わらないインクジェットによるエッジの効いた線と置かれた絵の具という構造で描かれています。 しかし70点に及ぶ膨大なバリエーションは「樹」と言う共通の形を描きながら、それによって更なる自由な画面を獲得しています。見たものとか、既存の形にとらわれずこの多くの変奏を通じて絵画そのものが持つエロティックな構造が浮かび上がってきます。繰り返し、それはあたかも植樹のように画面をつくることで意図や論理とは程遠い本質的何かを暴いてみせる、ここはまぎれもなく遠藤の表現のフィールドで、絵画の持つ楽しみを改めて味わう場所だと知ることになるのです。

どうかご高覧の上、ご喧伝賜りますようよろしくお願いいたします。

遠藤良太郎の略歴