1999年7月1日(木)~31日(土)
本展は、中国現代美術作家、季大純(ジ・ダチュン)の日本初の個展となります。 中国は伝統的な国画を最大の基準としており、その伝統から抜け出すことは容易なことではありません。しかしながら思いがけぬほど時代精神をあらわした作品を生み出しています。 一つは艶俗美術といういわばキッチュな作品群で、例えばファン・リジュン(方力鈞)はその代表的作家と言ってよいでしょう。つまり自国の過去を田舎臭く不器用なものとして笑う、または稚拙な画風やポップな表現で茶化すものです。 今一つは巧みに政治批判を隠匿した、概念的な作品群です。 両方に共通するのは伝統的な国画と比べ、国、時代に対する批評の目が存在することでしょう。 しかしここに挙げた季大純はこうした中国作家の中で、純粋に目のための作品を制作する作家の一人と言ってよいでしょう。意識しているか否か、背後には自国の伝統が明らかにあるし、その題材もこの国でしか選ぶことができないものです。しかし細かい線の揺れ、具象を描いて、たちまち抽象的な画面を見ると、季大純の作品の中に存在する時代精神が読み取れます。 トゥオンブリーが好きだと答え、政治的なものにとらわれない季大純は東洋でも西洋でもなく、世界の現代美術の中で通用するスタンダードを具えた数少ない作家の一人だと言ってよいでしょう。 |
季 大純 略歴 |
展示作品(一部) |
商人在海中 100x100cm ミクストメディア/キャンバス 1998 |
嘆息術 140x109cm ミクストメディア/キャンバス 1997 |
展覧会カタログ |
27x21cm / 4ページ / 図版4点 価格:300円(税込) |